久目と私
- #エッセイ
浅見 杳太郎(あさみ ようたろう) 芸術農民 百姓久目の懐に甘えさくって遊びさくり
小生は、東京の八王子というベッドタウンの出です。都市部の便利さ、不便さ、もろともに味わったのち、2018年より、久目(触坂)での暮らしを始めました。
さて、ここからは、文章でばかりでお伝えするのもナンですので、写真とともに久目での暮らし を、イチ移住者の視点でご紹介できたらと思います。
【1】家が立派で、大変におっきい。
まず、都市部に住していた身からすると、家が実に巨大です。白漆喰の外壁に、黒瓦の屋根がベー シックで、さらに庭付き、納屋付きです。 空き家の状態にもよるでしょうが、DIYを楽しみたい方は、やりがいに心ときめくはずです。
小生もど素人ながら、色々と挑戦してみました。
まず、壁塗り。写真は、下地の古い砂壁の砂を落としているところです。
そして、床板張り。断熱材として、佅殻くん炭を入れています。こういった、自然由来の資材をふんだんに使えるというのも、とても魅力だと思います。
で、床板を張って、なんとなく整えたら、とても過ごしやすい空間が出来上がりました(この写 真、マックスに綺麗な時のものです。今は、もそっと散らかっています、笑)。でも、まだまだ、 他の部屋の改修が済んでいないので、やることは盛り沢山です。それが、また、楽しくもあります。
庭も広いので、DIYスキルの高い方は、きっと遊び放題です。小生まだまだ技術が未熟なので、できることは限られるのですが、ちょっとずつモノを作って遊んでいます。
下の写真は、廃材の木製パレット(フォークリストなど荷物を運ぶ際に使われる荷台です)を利 用して作った、なんちゃってウッドデッキです。ぱっと見、それなりに映りますが、近くで見る と、歪んでいたりします。やむなし。
こんなふうに、素人の小生でも楽しませてもらっていますので、物づくりが好きな方には、とて も良い環境なんじゃないかなと思います。
【2】里山の環境を楽しめる(驚ける)
自然豊かな環境なので、四季折々、とても心地よいです。星空も綺麗で、蛍も飛んでいます。下の 写真は、蛍の飛んでいる様を撮影したかったのですが、夜遅くだったから、蛍たち、眠たかったのかしら。あまり元気よく飛んでおらず、光の帯が少なめです。良い時期・時間に見に行けば、より壮麗な光の明滅を楽しめると思います。
生き物もいっぱい居ます。
例えば、アゲハの幼虫なんてのは、実に可愛らしいです。威嚇しても、ピース。平和な動物です。 と言いたいところですが、庭の柑橘類や山椒の葉を食い散らかすという、困った一面も有してい ます。かわいい。でも、にくい。これも、やむなし。
カエルも可愛いです。下の写真は、中学生くらいでしょうか。おたまじゃくしの名残があります ね。
でも、こんな子らも居ます。拙宅まで来ました。ハクビシンです。
干し柿を吊るしておいたのですが…、
こんな感じになりました。やむなし。次回から、納屋の中などで干そうと思います。
脅威は悪さをする動物たちだけではありません。やはり、雪も降ります。何年かぶりに積りま くった冬景色が、これです。屋根の雪下ろしも、初めての経験でした。
【3】生活を自給できる割合を増やせる
環境が整っているので(庭広かったり、畑が借りやすかったり)、自分で作物を作ることにも挑 戦できます。在郷のみなさま、畑など、本当に快く貸してくださいます。
私事、2021年現在、小生、農での起業を目指して準備中なのですが、野菜・米づくりに関して、 経験も技術も道具も持ち合わせていません。そんなところ、地域の皆さんに、実にきめ細やかに サポートしてもらっています。本当にありがたく、いつか恩返しができたらいいなあ、って思っています。
これ、庭で取れた野菜です。やっぱり、自分でつくると美味しく感じますね。
畑も、現在、耕作されていない土地をお借りして、開拓しているところです。
田んぼもやらせてもらっています。何にも道具を持っていないから、どうしようかな、なんて考えていたら、地域の方が、いろんな道具を探し出してくれました。ほんと、感謝しかないです。お米ができたら、お世話になった方たちに食べてもらいたいなあ。
上の写真の「田車(稲と稲の条間を走らせて除草する道具です)」や「電気柵(イノシシなどの 獣害を防ぐための柵です)」も、地域の方が用意してくれたものです。下の「転がし(稲を植える 印付けのための道具です)」もそう。ありがたい限りです。
おかげで、仲間たちと田植えを楽しむことができました。
そうして迎えた実りの季節。これから収穫しますが(2021年9月現在)、美味しいお米になって くれたら、嬉しいな。
【4】この土地に居てくれる「人」あってこそ
このように、地域に支えられて暮らしを楽しませてもらっている小生。
そんな大きなコミュニティの懐に甘えさくって(甘えまくる、の意。此方の言葉です)、遊び散らかせていただいています。
移住者の小生が、このような豊かな生活を送らせてもらっているのも、ひとえに、この土地に居 てくれている「人」あってこそ。人の数は減ってはいるのですが、この地域コミュニティのしなやかな力強さには、ものすごいものを感じます。
集落での問題ごとは、基本、集落で解決していきます。用水の掃除(江ざらい)に、草刈り、消 防、etc.。
あ、そうそう、先般、大雨被害があったのですが、集落で重機を出してきて、住民だけで土砂を 片付けているのには、驚きました。なんでもできるものなのだなあ、と。
地域のみなさんに支えられて暮らしを営んでいる小生ですが、甘えさせてもらうだけでなく、上 のような地域での務めも積極的に果たしていきたいと思っています。
支えてもらうだけでなく、まず、ギブすること。ギブ&ギブ&ギブ、で成り立つ里山の大きな家 族。
「ふるさと」と、何の臆面もなく呼ばせてもらえる地域と出逢えて、小生はしあわせです。
地方移住を考えているみなさん、みなさんもこの輪の中に入りませんか。みなさんとの出逢い、 楽しみにしています。
【追記】 そうそう、こんなこともしました。ため池を掃除して、鯉さらい。日本じゃないみたいですよね、 この写真。良い思い出です(また、ここで獲れた鯉の、コリコリっとして美味いこと!)。それでは、いつか出逢えるその日まで。