建物と暮らし

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藝術農民 / おらっちゃの久目編集部空き家はフロンティア 里山Retreat & Kitchen 阿迦舎編
『藝術農民』として農業から里山オーケストラの主催までを営む浅見直希さんと裕子さんご夫妻。
『里山Retreat & Kitchen 阿迦舎(アーカーシャ)』は裕子さんが主宰する農と音楽と食が一体となった癒しを提供するアトリエです。
取材にうかがった日、母屋には「新しい百姓の暮らし」をテーマとする体験旅行として、愛知県の自動車関連会社からのお客さんが訪れていました。

「藝術農民的百姓」の暮らしを体験する一泊二日の旅。干柿づくりの手伝いに、キウイの収穫、ゆずの収穫、畑の手入れをして、間引き菜を収穫して、料理をして食べるところまで。





「加賀蓮根と鶏胸肉の炒め物」
「藝術農民の自然栽培米と触坂の銀杏のご飯」
「山のムカゴ炒り手作りフレーバー塩添え」といった料理が次々とできあがりました。




「はじめは『百姓の仕事を体験する』意識でいて、農の体験も実際にしたけれど、それ以上にオーケストラの組織だったり、新しく場を作っていくリノベーションの話だったり、お二人の生き方に心打たれました。やりたいことをやって、自分たちが果たす役割を全うして生きていることが格好いいなあと」

裕子さんも今回の旅の受け入れを通じて「里山Retreat & Kitchen 阿迦舎」でやっていきたいことが形にできた、と喜びます。
「これまで料理教室をやってきましたが、農家として安定してきたことで、やっと収穫から料理までを体験してもらうことができました。農作業から食卓までの全体を味わってもらうことで、『ここにある豊かな日常』を感じてほしい。今回、キウイを収穫しているところに偶然地主さんが来て一緒に作業したり、ゆずを収穫しているところに土地のおばあちゃんが来て楽しくおしゃべりしていったりして、地域の人も喜んでくださって。出会いの偶然性も含めて、都市とは違うオルタナティブな世界を体験してもらいたいと思います」

現在、藝術農民の母屋から歩いて5分ほどの近所にある大きな古民家を、阿迦舎の拠点としてリノベーション中。収穫から始まる料理や音楽の演奏会、宿泊などの機能ももたせていきたいと考えています。
立派なアズマダチの物件で、大きな木々に囲まれた周辺環境にも癒されます。



まずは食品加工の場から、と台所を改修。全体像は建築士の方に相談中。




こうした空間も一緒に、農と食と音楽が癒しとなる場をつくっていきたいそう。



「農や食への学びがあって、音楽が奏でられていて、人が交流する、美しい場所にしていきたい」と裕子さん。