暮らしと建物
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たてものさんぽ#4 良心の店
たてものさんぽ第四弾は「良心の店」です。
「たてものさんぽ」とは、学生時代に建築を学んだ、氷見市地域おこし協力隊の私、愛称「のんちゃん」が久目の建物を紹介するシリーズ企画です。
たてものの使い方や使われている方の想いなど、そこに住まう人たちのお話を聞きながら地域を巡ります。
○土日限定の山間地の直売所
山間部に向かって車を走らせると見えてくる、一軒のトタンのたてもの。
すぐ横に「新鮮野菜直売所」の黄色い旗が数本。
こちらは、毎週土曜日と日曜日の2日間が営業日の直売所です。
シャッターが開いており、中に入るとにっこりと優しい笑顔のお母さんが「いらっしゃい。ゆっくり見てね~」と声を掛けてくださいました。
今回は、こちらのお母さんに「良心の店」誕生の秘話や想いを伺いたいと思います。
○生きがいになっている
こちらの野菜直売所は、久目地区の坪池という集落にあります。
今から15年前に、地元のお母さんたちが中心となり、開設されました。
直売所として開放している裏は、坪池公民館となっており、「公民館の一部を無料で貸すから好きに使っていいよ」ということで、踊ったり、草鞋を編んだりする仲のいいグループで、それぞれの家の畑で育てている野菜の販売を始めたのがきっかけだそうです。
開設から2年ほどは無人販売でしたが、出品者さんが交替制で販売するようになりました。
「お店を開く前までは、育てた野菜は家族で食べたり、ご近所さんにあげたりするだけやって、ただつくっとるだけやった。それがこうやって買いに来て、喜んでくれるお客さんとお話しすることができて生きがいになっとる!」と楽しそうにお話をしてくださいました。
なんと!お値段はどれでも100円!
大きいものは200円のものもありますが、それでもお手頃価格!
儲けより、来てくれたお客さんとのお話しなど、楽しさを重視されているそうです。
取材中も、お客さんと会話を楽しまれている様子が何度も見受けられました。
お客さんは、氷見のまちなか、隣の高岡市や石川県の羽咋市の方から訪れます。
どちらも車で30分程度で着くことができるため、地元のお客さんはもちろんのこと、様々な地域の方が訪れます。
万願寺唐辛子の袋に「からくないよ!!」の手書き文字。かわいいです。
大きな冬瓜も販売されていました。
季節を感じる野菜がたくさんです。
野菜だけでなく、お花もあります。
取材をしていると、こちらの直売所に出品されている農家のお父さんがお店にやってきて、サルナシ(ベビーキウイ)をいただきました。「皮がまだ硬いから柔らかくなったら食べられ」とのことだったので、取材後の翌日に食べました。見た目が小さいので酸っぱそう!と思いましたが、普段食べているキウイとあまり変わらず、ほんのり酸味がありみずみずしくて美味しかったです!
お父さんは、採れたてのアケビも販売のかごに追加しました。
このように、山の木に実るものや山菜など、まちなかの方にはないものが売っています。
お正月の縁起物として見かける、ツクバネも見させていただきました。
現在は、12人の方で出品されているそうです。
このように色分けをしています。
前日の金曜日の夕方に、それぞれが出品物をお店に持っていきます。
自分で好きな場所に置いていくのが「良心の店」スタイルです。
そして、年々少しずつ販売スペースが広くなっているそう。
その日に採れたものを出品するため、季節だけでなく日ごとに並んでいる商品が変動します。
今日は何が売っているのか、毎週訪れる楽しさがあります。
絵葉書が趣味のお客さんの作品も飾ってあります。
丁寧に描かれた絵に、一筆ずつ想いが感じられる手書き文字。見ているだけで心が温まります。
○優しさが溢れている
「良心の店」という名付けの由来は、「山の人は心がいい、正直者で優しいから」と地域の方の人柄を表しているそうです。
お手ごろな値段でお野菜を買うと、さらにおまけをつけてくださることも!
優しすぎます。
取材終わりに、私も野菜を買って帰ろうとしていたら、こんなにたくさんプレゼントをしていただきました。じゃがいも、さつまいも、みょうが、アケビ。秋を感じます。ありがとうございます!
アケビは初めて食べました。見た目のインパクトがあり、食べるのはすこしドキドキしましたが、味はほんのり甘くて、水まんじゅうのような食感でおもしろいフルーツでした。
冬は野菜販売ができないため、冬仕事として米袋でレジ袋をつくられるそうです。
それを、春にお客さんにプレゼントします。とても粋です。
みなさんもぜひ、優しさが溢れる出品者さんと愛情いっぱいの野菜たちにお会いになってみては。
お邪魔しました。また買いに&お話をしに行きます!
良心の店
営業日:土曜7:00~15:30
日曜7:00~15:30
※4~11月のみ営業